column

多店舗の水道およびガス使用量を本部で把握するには既存店舗のデータ収集と集計

目次
  1. 既存店舗のデータを今あらためて確認する理由
  2. 特定連鎖化事業者と本部が集計するエネルギー使用量
  3. 店舗の検針負担はメーターの設置場所によって変動
  4. データの不足と現場の負担を同じ一覧で確認する
  5. 水道およびガスのデータ収集は本部の用途と店舗の作業を合わせて考える
  6. 既存システムを活かし後付け式の自動検針で不足を補う
  7. 継続的なデータ取得に負担のあるメーターから試す
  8. よくある質問
  9. 参考資料

“新店の電気使用量はシステムで確認できる一方、既存店舗のガスメーターや水道メーター、一部の子メーターは従業員が読み取り、本部へ報告している”―このように取得方法が混在する場合、本部は3つの手順でデータを整えられます。まず店舗やメーターごとのデータ取得元と不足を洗い出し、次に現場での取得にかかる作業を確認し、管理目的と設置環境に応じて収集方法を見直します。本記事では、その判断のポイントと、省エネ法におけるエネルギー使用量の集計範囲を整理します。

既存店舗のデータを今あらためて確認する理由

2025年4月から、建築物省エネ法に基づく省エネ基準適合義務の対象が、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物などに拡大されました。増改築にも、所定の範囲で適合義務が適用されます。また、2026年4月1日以降に省エネ適合性判定を申請する中規模非住宅建築物(延べ面積300㎡以上2,000㎡未満)には、用途に応じて引き上げられた基準が適用されます。[1][2] 新築・増改築を伴う出店では、建物や設備の省エネ性能を計画段階から検討する必要があります。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を目指す建物では、BEMS(ビル・エネルギー管理システム)によるデータ収集や運用管理も活用されます。[3]

本部が日々の運営を管理する際には、既存店舗を含め、システムや請求書、現場での検針がそれぞれどの使用量をカバーしているかを確認します。取得元が異なるデータを集計するには、対象期間や単位、メーターと店舗の対応をそろえることが必要です。

特定連鎖化事業者と本部が集計するエネルギー使用量

省エネ法では、事業者全体のエネルギー使用量に応じた管理が求められます。事業者の範囲は法人格を基本とし、本社や直営店舗などの使用量を合算します。原油換算で年間1,500kL以上となる場合は、国への届出を行い、「特定事業者」の指定を受ける必要があります。[4]

フランチャイズチェーンでは、本部と加盟店との約款等が経済産業省令で定める条件を満たす場合、対象となる加盟店を含めてエネルギー使用量を合算します。原油換算で年間1,500kL以上となる場合は、本部が届出を行い、「特定連鎖化事業者」の指定を受け、定期報告書や中長期計画書の提出などの義務を負います。[4] 対象範囲は、資源エネルギー庁が示す条件と自社の約款等を照らし合わせて確認します。

本部は、制度上の集計対象を確認したうえで、対象店舗の電気やガスなどの使用量を共通の項目・期間でそろえます。店舗ごとに検針日、報告様式、資料の保存方法が異なると、集計前の照合作業が増えます。新店のシステムデータと、既存店舗の請求書や検針記録をどう結び付けるかを整理しておきます。

既存システム・請求書・現場検針のデータを本部で対応づけ、店舗別の使用量を集計する流れ。
図1 取得元の異なるデータを、本部で使える形に整理

店舗の検針負担はメーターの設置場所によって変動

飲食店では、天井付近や、厨房の設備・配管・物品の間にメーターが設置されていることがあります。下の写真は、天井付近の水道メーターと、油汚れや周囲の物品が見られる厨房内のメーターの設置環境を示しています。

飲食店の天井付近および厨房内に設置されたメーターの現場写真
設置例1 天井付近の水道メーター(全景・拡大) 設置例2 厨房内のメーターと周辺環境
※現場写真。設置例2はAIによる識別情報の除去加工を施しています。設置環境を説明するための写真です。

こうした場所で検針値を取得するには、メーターへの近づきやすさ、撮影角度、明るさ、表示の見やすさを確認する必要があります。物品が視界を遮る場合や、写真で指示値を確認しにくい場合には、周囲を整理したり撮り直したりする作業も発生し得ます。本部に届く一つの数値の取得に、準備、読み取り、報告、再確認といった作業が伴うことがあります。

自動取得を検討する際は、データを何に使うかに加え、手作業の負担と、安定して設置・運用できるかを確認します。システムを導入した店舗数に加えて、個々のメーターの取得状況を見ることで、次にどこへ投資するかを判断しやすくなります。

データの不足と現場の負担を同じ一覧で確認する

本部は、店舗ごとに管理対象のメーターを洗い出し、次の項目を一覧にします。

  • メーターの種類:電気・ガス・水道、個別に管理する子メーター
  • データ取得元:既存システム / 本部で取得できる請求書 / 現場での検針
  • 取得頻度と担当者
  • 設置場所と現場の状況:高所、遮蔽物、油汚れ、撮り直しの有無
  • 一連の検針・報告にかかる時間:準備、読み取り、報告、追加記入。本部での提出依頼や照合にかかる時間は別に記録

作業時間は、設置環境や取得方法が異なる数店舗で実測します。一度の作業で複数のメーターを読み取る場合、準備や移動の時間は実際にかかった分を記録します。どの作業に時間がかかっているかが分かれば、改善対象を具体的に選べます。

月次の集計に必要な情報が請求書でそろう場合は、まず保存方法と店舗との対応を整理します。より細かな時間帯のデータが必要で、現場での読み取りや再確認の負担が大きいメーターは、自動取得を優先して検討する候補になります。例えば、閉店後も水の使用が続いているかを確認するには、その時間帯を捉えられる検針値が必要です。取得頻度は、確認したい内容に合わせて決めます。

データの充足状況と現場の取得負担に応じて、既存データの活用、台帳整理、自動取得の試験導入を選ぶ。
図2 データの不足と現場の負担に応じた収集方法の見直し

水道およびガスのデータ収集は本部の用途と店舗の作業を合わせて考える

当社がある多店舗展開企業から受けたご相談では、非財務情報の開示に向けて、店舗の水道およびガス使用量を正確に取得しながら、現場の負担を減らしたいという要望がありました。本部で必要なデータをそろえるには、店舗が無理なく継続できる収集方法も合わせて考える必要があります。

電気やガスの使用量は、エネルギー管理や関連する温室効果ガス排出量の算定に、水の使用量は、水道料金や使用効率、通常と異なる使用状況の確認に活用できます。店舗番号やメーター番号を統一して記録を管理すれば、設備管理、店舗運営、情報開示の各担当が同じ基礎データを参照しやすくなり、現場への重複した資料依頼を減らせます。

積算メーターの指示値から対象期間の使用量を算出する際は、期首・期末の指示値や倍率の設定、メーター交換の記録を関連付けます。請求書や施設管理者による按分資料では、対象期間や按分の根拠を残します。店舗ごとの使用量を比較する際には、営業時間、客数、季節などの条件も確認し、調査が必要かを判断します。

既存システムを活かし後付け式の自動検針で不足を補う

使用を続けているメーターで、現場での読み取りが必要な場合は、後付け式の自動検針を検討できます。A Smart(エースマート)は、対応する既設の電気・ガス・水道メーターに端末を後付けし、設定したスケジュールで撮影・読み取りを行います。検針値と撮影画像はクラウド上に保存され、取得データはCSV形式で一括ダウンロードできます。オプションのAPI連携で、他のシステムとつなぐことも可能です。[5] 本部は既存システムのデータと合わせて集計し、検針値を確認したいときには対応する画像を参照できます。

高所や厨房内では、設置前の環境確認が重要です。メーターの型式、設置スペース、通信環境に加え、表示を撮影できるか、油汚れや水蒸気の影響があるか、清掃・点検・保守がしやすいかを確認します。試験導入では、データの取得状況と現場で必要な保守作業の両方を確認し、その結果から展開範囲を決めます。

整えた基礎データは、省エネ法の定期報告や、温対法の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)における関連する排出量の算定にも活用できます。[4][6] SSBJ基準に基づく開示に取り組む企業は、算定対象の範囲や指標に応じて必要な資料を整理します。各報告で共通する基礎データを保存し、それぞれに必要な計算を行います。

継続的なデータ取得に負担のあるメーターから試す

まずは取得条件の異なる店舗を選び、1か月分のデータ収集を試します。高所や厨房内のメーターに加え、既存システムや請求書から取得するデータも含めて運用を確認します。対象期間のデータがそろったか、店舗での検針や追加報告にかかる時間がどう変わったか、本部で検針値の根拠を確認できるかを見ます。

その結果を基に、既存データを引き続き使うメーター、台帳を整理するメーター、自動取得を追加するメーターを選びます。日々の管理に必要なデータで、現場での取得負担が大きいメーターは、対応可否を優先して確認する候補になります。

店舗とメーターの一覧をお持ちの場合は、手作業で検針しているメーターの型式、表示部、周辺の設置環境が分かる写真をご用意ください。A Smartでは、データの用途と現場の条件を確認し、対応可否や試験導入時のデータ収集方法についてご相談を承ります。

よくある質問

Q. 自社が特定連鎖化事業者の対象となるかを確認するには

A. まず、本部と加盟店との約款等で、①本部が加盟店にエネルギー使用状況の報告を求められること、②空調・冷凍冷蔵・照明・調理加熱設備のいずれかについて機種、性能または使用方法を指定していること、の両方を満たすか確認します。そのうえで、本部・直営店舗等と対象加盟店の使用量を合算し、原油換算で年間1,500kL以上となるかを確認します。詳細は資源エネルギー庁の条件を参照し、必要に応じて所管の経済産業局に相談します。[4]

Q. 直営店と加盟店ではデータの収集方法が異なるか

A. 制度上、直営店は法人自身の事業場として集計し、加盟店は約款等が所定の条件を満たす場合に対象となります。実務では、メーターの設置場所、請求書の取得元、現場の担当者を店舗ごとに確認します。同じ一覧で直営店・加盟店を区別し、対象期間と単位をそろえて集計すると整理しやすくなります。

Q. 既設メーターを交換せずに自動検針を導入できるか

A. A Smartは、対応する既設メーターに端末を後付けし、表示を撮影して検針値を取得する方式です。メーターを交換せずに利用でき、電源・通信工事も不要です。対応可否は、メーターの型式、設置スペース、通信環境、表示の見やすさなどを確認して判断します。高所や厨房内では、撮影範囲と保守のしやすさも確認します。[5]

参考資料

[1] 国土交通省 建築物省エネ法に関する講習資料 ↗

[2] 国土交通省 中規模非住宅建築物の省エネ設計 ↗

[3] 環境省 ZEBを実現するための技術 ↗

[4] 資源エネルギー庁 特定事業者向け情報 ↗

[5] A Smart 機能と仕様 ↗

[6] 環境省 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の概要 ↗

多店舗の検針・データ収集を、もっとスムーズに。

既設メーターの対応可否やデータ収集方法について、お気軽にご相談ください。

無料相談 →

このページをシェア

XFacebookLinkedInLINE
A Smart A Smart

お問合せ Contact Us

A Smartの検針無人化は、1台からご導入いただけます。
柔軟にご対応させていただきますので、
まずはお気軽に無料相談から !